生と死について学ぶ場として。身近な人を失った悲しみを分かち合い、いのちについて考え行動する開かれた場になる事を目指しています。

生と死について学ぶ場として

過去の教養講座

2008年~2013年の教養講座を掲載いたします。


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2013年度 死生観読書会 「西行の死生観に学ぶ-その芸術・思想・宗教」

日時月1回(全10回)
原則として第2月曜日 19:00-20:30
講師講師:田畑邦治氏
(本会理事長・白百合女子大学教授)
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内容【講座内容】
第 1回 5月13日:戦乱の世と心静かな人間西行
第 2回 6月10日:和歌の道と真言・宗教
第 3回 7月 8日:西行と慈円におけることばの道
第 4回 9月 9日:西行の宗教と世界観
第 5回 10月21日:歌枕と漂泊
第 6回 11月11日:心の世界-鴫立つ沢の秋の夕暮れ
第 7回 12月 9日:月と桜と本地垂迹-『御裳濯河歌合』
第 8回 1月20日:西行の願と藤原定家-『宮河歌合』
第 9回 2月10日:神と仏の風景
第10回 3月10日:花のしたにて春しなん
備考「願はくは花の下にて春しなん そのきさらぎの望月のころ」。よく知られたこの西行の和歌では、平明な言葉づかいの中に、かれが探求した言葉の道(和歌)と、宗教的真理である仏教(月)と神道(桜)が渾然と融合されており、そのようにして彼が到達した死生観がみごとに歌いあげられています。日本を代表する歌人の芸術・思想・宗教をゆっくりと味わい学びたいと思います。
テキスト:桑子敏雄著『西行の風景』(NHKBooks日本放送出版協会、1999年)

2012年度連続講座 『悲しみの哲学』を読む

講師講師:田畑邦治氏
(本会理事長・白百合女子大学教授)
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内容【講座内容】
第 1回 5月14日(月)「かなしみ」という問い‐宮沢賢治と西田幾多郎から
第 2回 7月 9日(月)「かなしみ」「かなし」「あはれ」‐国木田独歩と柳田國男から
第 3回 9月10日(月)神・仏と「かなしみ」‐本居宣長を中心にして
第 4回 11月 5日(月)「かなしみ」と「あきらめ」‐正岡子規・夏目漱石などから
第 5回 1月21日(月)別れの「かなしみ」と「悲哀の仕事」‐岸本英夫・川端康成などから
第 6回 3月11日(月)有限と無限のあいだの「かなしみ」‐志賀直哉・若山牧水・八木重吉
備考私たち日本人は、本来否定的・消極的な感情と思われる「かなしみ」を深く受けとめ、その感情を、文芸をはじめとする芸術に表現してきました。はかない時間の中にありながら変らない世界を感じとり、独特な倫理観や世界観を培ってもきたのでした。この講座では、日本倫理思想の第一人者である竹内整一先生の著書を味わいながら、日本精神史の豊かな深層に触れてみたいと思います。
テキスト 竹内整一:「かなしみ」の哲学-日本精神史の源をさぐる、日本放送出版協会(NHK Books)970円

2011年度連続講座 『言葉の内なる生と死ー日本の古典を読み直す』

講師講師:田畑邦治氏
(本会理事長・白百合女子大学教授)
内容【講座内容】
第 1回 5月 9日(月) 神々と英雄の悲しみ―古事記
第 2回 6月13日(月) 相聞と挽歌の絶唱-万葉集
第 3回 7月11日(月) 露の命の悲しみ―源氏物語(1)
第 4回 8月 8日(月) 失意から立ち上がる女性―源氏物語(2)
第 5回 9月12日(月) 悲劇の中の生と死―平家物語(1)
第 6回 10月17日(月) 見るべき程の事は見つ―平家物語(2)
第 7回 11月21日(月) 花の下の生と死―西行法師
第 8回 12月12日(月)鎌倉仏教の死生観―親鸞と道元
第 9回 1月16日(月) 無常観と存命の喜び―徒然草
第10回 2月13日(月) 野ざらしを心に―松尾芭蕉(1)  
第11回 3月12日(月) 「おくのほそ道」の旅―松尾芭蕉(2)
備考「温故知新」と言われるように、過去の言葉の中に、未来を切り開く智慧が秘められています。
また、読み継がれてきた古典は、読む時代、読む人の年代によってその内容や味わいが変化します。
この講座では、われわれの先人がその人生経験から紡ぎだした言葉に注目し、言葉の中で生と死がどのように経験され表現されているかに注目して、それと対話することによって、現在の私たちの人生への示唆を汲み取りたいと願っています。扱う作品は、『古事記』から『おくのほそ道』までです。

2010年度連続講座  人間の出会いと別れ「おくのほそ道」に学ぶ

講師講師:田畑邦治氏(本会理事長・白百合女子大学教授)
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内容【講座内容】
第1回 5月10日(月)『序論:芭蕉紀行文と「おくのほそ道」の始め』
第2回 7月12日(月)『白川 から平泉まで』
第3回 9月13日(月)『平泉』
第4回 11月22日(月)『最上川 から金沢まで』
第5回 1月17日(月)『金沢 から山中温泉まで』  
第6回 3月28日(月)『全昌寺 から大垣まで』
備考昨年の「『源氏物語』の死生観」に続いて、今年度は、日本を代表する短詩系文学の巨人・松尾芭蕉の芸術と人生を学びます。とくに「おくのほそ道」は芭蕉の文学・思想の総決算ともいうべきものですが、そこには「旅を栖とす」る芭蕉独特の世界観・人生観が脈打っています。また、人間の出会いと別れ、つながりと孤独など、人間関係についても汲み尽くし難いほどの豊かな鉱脈が広がって、私たちの今を照らしてくれます。

2009年度教養講座「流転する生死」~源氏物語の死生観を学ぶ

講師田畑邦治氏(本会理事長・白百合女子大学教授)
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内容【講座内容】
第1回  5月11日(月) 「(1)桐壷-(4)夕顔」
第2回  6月8日(月)  「(5)若紫-(11)花散里」
第3回  7月13日(月) 「(12)須磨-(17)絵合」
第4回  9月14日(月) 「(18)松風-(27)篝火」
第5回 11月9日(月)  「(28) 野分-(33)藤裏葉」
第6回 12月14日(月) 「(34)若菜上-(35)若菜下」
    【終了後20:00~21:30 懇親会をします】
第7回  1月18日(月) 「(36)柏木-(41)幻」
第8回  2月8日(月)  「(42)匂宮-(48)早蕨」
第9回  3月8日(月)  「(49)宿木-(54)夢浮橋」
備考『源氏物語』が書かれてからほぼ千年が経ち、この世界が誇る不朽の名作への関心がますます強まってきました。この物語は、源氏の母である桐壺更衣の死から始まって、多くの人々の死を述べています。その一つ一つの死は、物語の底流として重い意味を担っていきます。
この作品を通して、人間の生と死の問題、とりわけ愛する者との離別が、どのように受け取られ、文学として昇華されたかを味わいます。
テキストは、基本的に瀬戸内寂聴さんの現代語訳を使います。(必要に応じて、原文を用意します)

2008年度連続講座「日本人のたましいの文学と死生観」

講師田畑邦治氏(本会理事長・白百合女子大学教授)
釘宮明美氏(白百合女子大学講師)
阿部仲麻呂氏(東京カトリック神学院講師)
内容第1回 6月20日(金) 18:30~20:30
万葉集:挽歌の宝庫    講師:田畑邦治氏
第2回 7月11日(金) 18:30~20:30
源氏物語:露の命の美学  講師:田畑邦治氏
第3回 9月12日(金) 18:30~20:30
西行:花月の唱名としての生死 講師:釘宮明美氏
第4回 11月14日(金) 18:30~20:30
道元:はなてば手に満てり 講師:阿部仲麻呂氏
第5回 12月12日(金) 18:30~20:30
世阿弥:花の美学の死生観  講師:阿部仲麻呂氏
第6回 1月9日(金)  18:30~20:30
キリシタン:殉教-弱さの中の強さ 講師:阿部仲麻呂氏
第7回 2月13日(金) 18:30~20:30
芭蕉:日々の辞世を詠う  講師:田畑邦治氏
第8回 3月13日(金) 18:30~20:30
近松門左衛門:魂のつながりの文学 講師:釘宮明美氏
備考確かな指針を見失って漂流する現代日本人のたましい。今こそ私たちは先人が歴史の中で生み出してきた世界に誇りうる言葉・文学・思想に回帰して、そこから新しい生命力を汲みとることが必要ではないでしょうか。
本会は「人間の生と死についてさまざまな角度から考え、学び、行動する開かれた場を提供すること」を目的に掲げ、その一つとして、死生観に関連する社会事業を展開してきました。今年は、日本人のたましいの表現であるすぐれた古典を通して、生と死をみつめます。
西洋の宗教・哲学・文学にも詳しい専門家による日本古典の解読を参考にして、現代にも通じる「たましいの文学・思想」を再発見してみませんか。

2008年度連続講座「日本人のたましいの文学と死生観」~第8回近松門左衛門:魂のつながりの文学

講師釘宮明美氏(本会会員・白百合女子大学講師)
内容江戸時代の元禄年間に、歌舞伎・浄瑠璃作家として活躍した近松門左衛門(1653~1724)の作品は、現代に至るまで度重なる上演を続け、多くの愛好者に親しまれてきました。近松の劇で大きな役割を演じるのが、市井の庶民や町人や女性という弱い立場にいる欠点だらけの人たちです。彼・彼女らは、親子や男女の情愛ゆえに、逆らうことのできない義理の袋小路に追い込まれて、命を賭して添い遂げようとするのです。現実には成就されることのなかった彼らの心願を、近松は渾身の力をこめて道行文といわれる流麗な文章に代弁しました。生死を超えた魂と魂の強い結びつきが放つ不思議な輝き――現代人の心をも揺さぶるこの劇中の見せ場を、味わってみたいと思います。

2008年度連続講座「日本人のたましいの文学と死生観」~第7回芭蕉:日々の辞世を詠う

講師田畑邦治(本会理事長・白百合女子大学教授)
内容「月日は百代の過客にして、行きかふ年もまた旅人也。舟の上に生涯を浮かべ、馬の口とらえて老をむかふる物は、日々旅にして旅を栖とす。」
誰にも親しい『おくのほそ道』の冒頭。芭蕉にとって「旅」とは、ただ空間的な移動や時間的な変遷につきない、人間を含めた万物のありようであり、それゆえ、かれが追求した俳諧という芸術のありかたそのものでもありました。そこでは出会いと別れ、生と死が常に隣り合わせでした。芭蕉の「旅の芸術・思想」から、私たちは人生の永遠に変わらない真相(不易)と、たえず新たによみがえる気風(流行)を学びたいと思います。
講師阿部仲麻呂氏(東京カトリック神学院講師)
内容17世紀、キリシタンたちは政治家たちから迫害を受けました。人間というものは弱さをかかえています。キリシタンたちのほとんどは普通の人たちでした。彼らは長い迫害の期間をとおして徐々に成熟していきました。こうして、イエス・キリストに信頼して生きた殉教者たちの誠実な生き方は多くの人びとの心を動かし、政治家をも感動させていきました。
欠点の多い弱い人間であっても、信仰のゆえに強められて人生を全うするという不可思議さ。人間が成熟していく様子を殉教者たちの生き方から学びたいと思います。