特定非営利法人生と死を考える会の概要。身近な人を失った悲しみを分かち合い、いのちについて考え行動する開かれた場になる事を目指しています。

ご挨拶

ご挨拶

新年の挨拶 コロナ禍のなかで生と死を考える

代表理事 藤井 忠幸

 

内省を深め合う時期

昨年より続いているコロナ禍の影響が、なお引き続き止むことなく新しい年を迎えております。人々の胸中には、もういい加減にして欲しいとの想いが渦巻いていることと思われます。私どもの会においても、昨年の3月頃より、従来からの活動はほとんど休業状態が続いております。
 そのなかで、「分かち合いの会」や「ひまわりの会」は、昨年の秋口頃よりオンラインによる活動が再開されております。しかし、そこに参加される方々は以前に比べかなり少ない状態が続いております。
 このままの状況が仮にもし継続することになりますと、本会の今後の進むべき道を根底より検討し直す必要が出てくると思われます。出来ますことであれば、ここで一度立ち止まり今後の本会の歩みについて、内省を深め合っていくことが望まれるのではないでしょうか。


「危機はチャンス」という視座

 その検討に際しては、まず本会がこれまで実施してきました社会的役割を整理し直し、どのような分野を大事に今後引き継いで行くか等について、検討し合って行くことが望まれましょう。
 その過程で、これまでの歩みに加え、これからの社会的課題、とくにあと四、五年先の「多死社会」に向けてのビジョンづくりの作業が不可欠となりましょう。
 この問題については、私は以前にも何度か述べさせていただきましたが、大事な課題と思われますので、再度、問題にさせていただく次第です。

多死社会とは、よく言われておりますように、いわゆる団塊世代の方々が一斉に七五歳以上の後期高齢者に突入し、生死に関する問題が社会全体の共通課題になってくる時代と言われています。
 その社会では、死の迎え方や遺された遺族たちの生活のあり様や精神的問題などが、一層、人々の身近な課題として迫ってくると思われます。
 そのような社会状況の到来を目前にして、本会のこれまでの四〇年近くの遺族支援活動の実績は、社会的資源としても一層大事な存在となってくるのではないでしょうか。
 
 その社会的要請に応える際の整理過程において、大事にしていく基本的姿勢として、「危機はチャンス」という考え方があるのではないかと思われます。
 コロナ禍の危機をどのように好機として捉え直していくことが出来るか。その視座を大切にして本会の今後の運営を変容させていくかが課題となってくることでしょう。


複眼への転換

コロナ禍の危機の到来は、多くの人たちが予測していなかった不意打ちの出現であったとも言えましょう。一方で、このような予想外の緊急事態に類した出来事との直面は、私どもの遺族支援活動のなかでは、しばしば共有され、分かち合われてきた分野とも言えましょう。
 個人的には私自身もそうでありましたが、前の日まではまったく想像もしていなかった運命激変の翌朝との遭遇。それは日常を共にしてきた伴侶の冷たい亡骸との対面で、まったく想定外の出来事でした。
 そして、事前の準備や心構えもなく、その後の日々を送ることになったのです。そのような想定外の新たな日々においては、これまでの淡々とした日々の暮らしの中では決して気づかなかった、また見えなかったものが見え、感じられるようになりました。
 たとえば、再び生きる力を降り注いでくれる朝陽の輝き。一日の疲れた心をそっと癒してくれる穏やかな夕陽の蔭りなど、同じ朝陽や夕陽が姿を変えて近づいてくれるのです。それは自然との新たな出会い直しだけではなく、対人関係において生じてきます。これまで気づかなかった相手の心の温かさや優しさが脈動となって伝わってくるのです。
 それは物ごとの一面だけではなく、さまざまな彩り映えが見え、感じられるように変容してきます。いわば単眼から複眼へ自身の目線が生まれ変わってくるのでしょう。


アフター・コロナに向けて

危機はチャンスへの転換点であることは、何も個人的レベルの話ではなく、組織においても同様な働きが見え、具現化してくるものと思われます。
 本会のコロナ禍中の活動、さらにはコロナ終息後の活動においても、危機をチャンスに変容させて行く局面が見え隠れしてくることでしょう。

 具体的には現在、オンラインによる新しいグリーフワーク等も開始されております。それらの活動は、今のところは充分に機能しているとは言えないかと思われますが、徐々に新しいグリーワークの兆しが出現し、私どもの活動を強く支え、躍進させてくれるきっかけに繋がるかと思われます。

 昨今の止まぬコロナ禍のなかで、希望を大切に抱きつつ、これからも力を合わせ、活動し合って行きたいものと切に願っている次第です。


(2021/1/27)